『志』は、Fabbi創業の歩みを描いた一冊であると同時に、一つのチームがどのように力を合わせ、グローバルに通用する企業を創り上げていくのか、その想いと軌跡を映し出す一冊でもあります。
スタートアップ創業者が数々の困難を乗り越え、成功へと突き進、そんな“ヒーロー物語”ではなく、本書が描いているのは、チームとして企業を築き上げていくプロセス、そして多文化環境の中で組織を成長させていくリアルな姿です。ブ・ブァン・トゥー氏は、複数の国にまたがる数百人規模の組織を率いるプレッシャー、日本とベトナムにおける働き方や価値観の違い、さらにはグローバル企業運営の中で常に存在する“見えない摩擦(Invisible Frictions)”について、多くのページを割いて語っています。
その率直さこそが、『志』をより身近で、リアルな一冊にしているのです。
印象的なのは、著者が「成功は一人の力によるものではなく、人と人をつなぎ、成長させる力から生まれる」と捉えている点です。本書の後半では、持続可能な企業を築くための重要な要素として、「家族のような結束力」と「再現性のある仕組みづくり」という二つのキーワードが語られています。
だからこそ、Fabbiは単なる成長中のテクノロジー企業としてではなく、多くの人が信頼し合い、ともに成長しながら未来へ進んでいく“チーム”として映るのかもしれません。
企業は、一人の想いから始まることができる。
しかし、持続的に成長していくためには、その想いが組織全体の志になっていく必要があるのです。
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